金村修の言葉 2024年1期

第一回 1月22日
ワークショップ
写真は単語。このワークショップで学んでほしいのは文法です。


第二回 1月29日
撮影
犬のマーキングみたいなもんですよ。同じところ毎回撮ってて飽きないんだから、写真家は。


第三回 2月5日
距離
自分と写真がくっついちゃうと作品になりづらいんですよ。


第四回 2月12日
視線
作品は人に見せることが必要なんですよ。他人の視線がないと思想は生まれないから。


第五回 2月19日
説明
説明的に撮ると弱くなるんですよ。写真は現実を写すから。


第六回 2月26日

量を展示したほうがいいですよ。たくさん出して表現できる写真ってあるから。やりたいことが明確になるっていうのかな。あとから誰かに絞ってもらってもいいし。どっちも自分でできると一番いいんだけと。


第七回 3月4日
Marco Mazziさんによる特別講義


第八回 3月11日
人生
写真家は自分だけじゃなく、撮った相手の人生までついてきちゃうんですよ。


第九回 3月18日
見方
「自由に作品を見てほしい」っていう作家がいるけど、最初から自由というのは弱いんですよ。


第十回 3月25日
写真集
いい写真ばかり並べたらいい写真集ができるかっていうとそうじゃない。それって音楽でいうとベスト盤みたいなもの。ベスト盤で面白くないじゃない?


金村修の言葉 2023年4期

第一回 10月16日
見直す
これはダメだと思った写真が十年くらいして見直したらよかったりするんですよ。自分でやってることは自分で判断できないものなんです。


第二回 10月23日
撮影
写真家は早起きなんですよ。


第三回 10月30日
持続
続けていくって大事ですよ。写真は唯一、続ければなんとかなるメディアなんですよ。


第四回 11月6日
影響
影響された作品がないなんてことはないですよ。バックボーンがないとトークできないじゃない? 天才の話がつまらないのは自分の話しかしないからなんです。


第五回 11月13日
スナップ
スナップは撮影もセレクトも無限にチョイスできるから、作家としての態度、世界観が問われるんですよ。


第六回 11月20日
傑作
傑作写真には作家の思想が表れるんですよ。


第七回 11月27日
Carrie Cushmanさんによる特別講義


第八回 12月4日
世界
室内と街頭の写真が両方あるといいんですよ。狭い世界と広い世界を行き来することになるから。


第九回 12月11日
組み合わせ
写真の組み合わせは無限なんですよ。どれとどれを組み合わせるかが作家の思想なんです。


第十回 12月18日
揃える
写真がぜんぶ揃っている人っているじゃないですか? 揃ってると飽きるんですよね。ミニマルアートじゃなく現実が写ってるんだから。


金村修の言葉 2023年3期

第一回 7月24日
写真
下手な写真ってたくさん撮らないと出てこないんですよ。


第二回 7月31日
ピント
ピントって悩みますよね。ここに合わせるか、そこに合わせるかで。私がパンフォーカスにしてるのはピントを考えるのが大変だから。


第三回 8月7日
カメラ
カメラ持って鏡に映してみた? ダメだよ、似合ってるカメラじゃないと。


第四回 8月14日
場所
この場所どこだろう? っていう写真ですよね。具体的な地名が知りたいとは思わない。郷土愛がないところがいいんですよ。


第五回 8月21日
被写体
くだらないものが写った写真をプリントすると、自分ってほんとにくだらないんだなと思うんだよね。でもなぜかくだらないものを撮りたくなるんですよ。


第六回 8月28日
宇田川直寛さんによる特別講義


第七回 9月4日
文章
作品になる時ってこれで文章が書けると思ったときかな。


第八回 9月11日
撮影場所
『挑発する写真史』の表紙、あれ町屋なんですよ。町屋にこんなベレニス・アボットみたいな場所があるのか、みたいな。たしか京成線の高架下だと思います。


第九回 9月18日
場所
自分が生活している場で撮影すると強いんですよ。誰もその場所を知らないし。それがあって都会の写真があると良いんですよ。自分の核みたいなものがあって都会を撮ると人とは違う写真になるんですよ。


第十回 9月25日
場所
日本の都市を説明している写真じゃないんだから、ボーダレスでいいと思う。桑原甲子雄さんの『夢の町』は東京を撮ってるんだけど、昔の東京で今の東京じゃない。桑原さんの町なんですよ。時間も場所も関係ないんです。


金村修の言葉 2023年2期

第一回 5月1日
レンズ
広角レンズを使うと画面が歪んで中心ができるんです。画面にヒエラルキーができるんですよ。


第二回 5月8日

音に集中して歩くと、街がふだんと違って見えるんですよ。聴覚の可能性はまだ未開拓だと思いますね。


第三回 5月15日
写真
結局撮ってみないとわからないんですよ。撮っても撮ってもわからないんですけど。


第四回 5月22日
時間
時間のない撮り方ってあるけどね。日常生活を撮る。その人の条件の中で撮るしかないんだから。


第五回 5月29日
楢橋朝子さんによる特別講義


第六回 6月5日
映画
長い時間が必要な映画ってあるんですよ。8時間くらいの映画を見に行くと、途中から意識が変容するんですよ。


第七回 6月12日
構図
構図に対してシリアス性がないのがいいよね。撮ろうって気がない。どんどんヘタになる写真家ってあんまりいない。ロバート・フランクくらいだよ。


第八回 6月19日
撮影
うねるような写真を撮りたいときは蛇になるんです──鈴木(清)先生がそう言ってましたよ。蛇ってこう見てるのかなあ、と撮ってましたね。6×6のカメラで。


第九回 6月26日
作品発表
前にやったものをベースに何をやるかを考える。いったんやったことをゼロにして、を繰り返していると、いつまでたっても積み上がっていかないから。


第十回 7月4日
写真集
写真をどういうふうにまとめるかは、写真集を見て考えるしかないんですよ。


金村修の言葉 2023年1期

第一回 2月6日
もの派
工場の写真を見るとみんな「もの派」に見える。


第二回 2月13日
ズームレンズ
ズームレンズはあまりつかわないほうがいいかな。自分が興味があることにどれだけ身体が近づいていくかってことが重要だから。


第三回 2月20日
サイズ
写真に撮って大きくすればいいですよ。サイズを変えられるのは写真のいいところだから


第四回 2月27日
写真
つまらないものでも自分が撮るとおもしろい写真になる――そういう態度は好きじゃないですね。写真はマジックじゃないから。


第五回 3月6日
撮影
考える前に撮ってる。考えるのは選ぶ時なんですよ。


第六回 3月13日
撮影
聴いてる音楽とか読んでる本と、撮ってる写真って、最初はバラバラですよね。でもそれがだんだんくっついてくるんですよ。人生にムダなものってないんだなって思いますね。


第七回 3月20日
写真
写真って、自分でも意識しないうちにいい写真が撮れるものなんですよ。たまに。ずっと撮ってると、そのうち意識して撮れるようになるんだけど。


第八回 3月27日
小林孝行さんによる特別講義


第九回 4月3日
日記
日記写真は上手い必要はないんですよ。上手い日記なんか読みたくないでしょう。ちょっと崩れていたり、はみ出してるほうがいいんです。


第十回 4月10日
目的
目的なんてないほうがいいんですよ。目的を持つと目的に縛られるから。

金村修の言葉 2022年4期

第一回 11月7日
写真
写真1枚は言葉でいうと単語だけ。赤ん坊の言葉と同じでそれだけじゃ意味をなさない。それをつなげる文法が必要。言いたいことがないっていうのだって1つの文法なんですよ。


第二回 11月14日
タイトル
タイトルをつけるときに考えてること? 鑑賞者を混乱させようってことですね。


第三回 11月21日
撮影
最初の頃はとくにそうなんだけど、写真ってサボると撮れなくなるんですよ。


第四回 11月28日
視覚
メッセージをどうやって視覚的に表現するかが重要。読んで理解する、ではなく、見て感じる。フルクサスはそれをやってた。


第五回 12月5日
三田村光土里さんによる特別講義


第六回 12月12日
写真の順序
写真を並べるのは連想ゲームのようなものなんですよ。連想ゲームには秩序がないから。


第七回 12月19日
写真
(写真を見て)世の中ってこんなにわからないものがあるんだ。わからないから意味があるのかなとか考えるわけですよ。暗号ですよ。なんの暗号かわからないけど。


第八回 12月26日
被写体
写真なんて撮りにいくまで何が撮れるかわからないからね。


第九回 1月9日
展示
展示を写真に撮るって大事なんですよ。写真は実際の展示よりも面白く撮れたりするから。


第十回 1月16日
意味
意味を与えたくないってことは、毎回違うことを言うってこと。意味を撹乱するんですよ。


金村修の言葉 2022年3期

第一回 7月25日
健康
写真は健康にいいですよ。朝8時に寝てたけど、写真を始めて朝8時に起きるようになったんです。体調がよくなりましたね。


第二回 8月1日
アンチ・エモーション
音楽でいえばリズムセクションがしっかりしてる。だからエモーショナルな感じがしないんですよ。


第三回 8月8日
展示
一つの展示でできるのは一つのことだけなんですよ。


第四回 8月15日
エフェクト
楽器でもエフェクトかけるやつってだいたい下手なんですよ。エフェクトかけていいものは、かけなくても面白いものなんです。


第五回 8月22日
人間
自己表現してない写真っていいですよね。人間もいないし。人間がいない風景って美しいですよ。


第六回 8月29日
遺作
たまには展示で失敗したっていいんですよ。遺作で失敗しなければいいんです。


第七回 9月5日
作品
作品は自分でコントロールできるものじゃないんです。できちゃったものなんです。コントロールできるものよりも、できちゃったもののほうが面白いんですよ。


第八回 9月12日
梅津元さんによる特別講義


第九回 9月19日
友だち
友だち? いないですよ。友だちつくると作品つくらなくなるじゃないですか。


第十回 9月26日
こだわり
こだわりってあったほうがいいですよ。ヨーゼフ・ボイスはフェルトと脂肪にこだわってたんだけど、本人いわく、第二次世界大戦中にドイツ空軍のパイロットだったときに撃墜されて、フェルトと脂肪のおかげで助かったと。そういう何かがあると作品が面白くなるんです。

金村修の言葉 2022年2期

第一回 5月16日
想定
(写真は)作者が見ていないところが面白いんですよ。想定していないものが入ってくる面白さっていうのかな。


第二回 5月23日
展示
絵だと展示にあまりよくない絵が混じってるとテンション落ちるけど、写真の場合は、いい写真とそうでもない写真が混じっていてもいいんですよ。意外とそれが面白かったりするから。


第三回 5月30日
強度
この写真には強度があるんですよ。トリミングできないくらいフレーミングがしっかりしているんですよね。弱い写真はトリミングしたくなるんですよ。


第四回 6月6日

写真なんか神頼みですよ。その角を右に曲がるか左に曲がるかで、撮れる写真が違うんだから。


第五回 6月13日
フィルムとデジタル
フィルムとデジタルを比較したら、デジタルのほうが絶対きれいなんですよ。フィルムが面白いのは、汚いこと、不自由なことをあえてやるときなんです。


第六回 6月20日
ステートメント
写真には文章に収まりきらない面白さがあるんですよ。ステートメントは写真を説明するためじゃなく、写真を生かすために書くんです。


第七回 6月27日
編集
あわてて編集したほうがいいんですよ。直感とか勢いが重要。そうやって日々追い詰められていくのがいいんです。


第八回 7月4日
ストリートスナップ
ストリートスナップは新しくもないけど古びるものでもない。ある種の公共財産のようなもの。ストリートスナップは写真界の集合的無意識なんですよ。


第九回 7月11日
Victor Siraさんによる特別講義


第十回 7月18日
アイディア
初発のアイディアがいい人っているんですよ。ミュージシャンでもデモのほうがいいって人がいるから。


金村修の言葉 2022年1期

第一回 2月21日
拡張
写真を拡張していこうと思ったら、作家が原理を持っていないとできないんですよ。


第二回 2月28日
バランス
美術家ってバランスとっちゃうんですよ。コンポジションとかアカデミックに勉強してる人は。写真家は機械が写すからバランス悪いまま撮っちゃうことがあるんです。それは普通の美術家にできないことなんですよね。


第三回 3月7日
記録
記録に感情はないんですよ。


第四回 3月14日
写真
モノクロだけやってたときから(自分がやっていることが)写真だなんて思ってなかったよ。コラージュ。だから四段掛けだし。


第五回 3月21日
写真と言葉
言葉と写真が完全に合うことって絶対にないから。言葉が刺激になって写真の見え方が変わるんですよ。


第六回 3月28日
作品
作品って自分で把握できないんですよ。


第七回 4月4日
憑依
よく写真を「自分の無意識が」って言う人がいるけど違うと思う。どっちかと言えば「憑依」。外からくるから。


第八回 4月11日
意識の地獄
写真は主体的なものじゃない。僕は何十年も写真を撮ってるけど主体性が崩れていきますよね。(中平卓馬が言う)「意識の地獄」からわりあい自然に抜けてきますね。
(中平卓馬の研究者フランツ・プリチャードさんの特別講義についてのコメント)


第九回 4月18日
作家
世界をどう名付けるか。それが作家の仕事なんですよ。


第十回 4月25日
見せ方
自分のコアにあるものを固めないと。見せ方だけ新しくしたってしょうがないでしょう。


金村修の言葉 2021年4期

第一回 11月29日
カメラ
重いカメラを使えば使うほど写真が重くなってくるんですよ。


第二回 12月6日
被写体
同じようなものが続いてもいいんですよ。まったく同じものはないんです。同じ瞬間はないんですから。


第三回 12月13日
動画
フレームすること。現実から区切ること。そこから映画が始まるんですよ。


第四回 12月20日
インスピレーション
(ウォルフガング・)ティルマンスを日本で真似る人はたいてい失敗するんですよ。情感を出しちゃうから。写真と写真の“間”は情感を出すためじゃないから。


第五回 12月27日
撮影
今日撮ってつまらない写真でも、明日撮るとおもしろくなることってあるんですよ。持続的に撮ることで面白くなることがあるんです。


第六回 1月10日
焦って撮る
これを撮らなければこの瞬間はなくなってしまうと焦って撮るんですよ。土門拳だって「仏像は走ってる」って言ってるんだから。


第七回 1月17日
タイトル
タイトルが決ると自分の写真が見えてくるんですよ。


第八回 1月24日
—特別講義—


第九回 1月31日
写真
写真に撮ってはじめてわかることってあるんですよ。俺も東京を撮るまで汚いなんて思ってなかったし。写真を見て、意外と下品だな、と。


第十回 2月7日
作品
いつでもどこでも自分の作品をつくる。それが作家なんですよ。クライアントの要請に応えましょ、なんて作家じゃないから。


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