金村修の言葉 2021年3期

第一回 7月12日
バラツキ
バラツキを出そうとしなくていいですよ。似たような写真が並んでいいんです。バラツキを出すのは、基本的なところができてからじゃないと逆に難しいんですよ。


第二回 7月19日
ZINEの構成
終わろうと思って写真を選ぶとよくないんですよ。終わろうって終わる音楽ってかっこわるいじゃない? ブチって切れて終わったほうがいいんですよ。


第三回 7月26日
晴れた日
わざわざ曇りの日に撮って写真を揃えようとしなくてもいいんですよ。日本は晴れの日が多いんだから。


第四回 8月2日
タイトル
展示のたびにタイトルを変える。タイトルについて考えることは、自分の写真について考えることになるから。


第五回 8月9日
—特別講義—


第六回 8月16日
動画編集
動画編集は無音でつないだほうがいいんですよ。音なしでリズム感が出るように編集して、後で音をつけるんです。


第七回 8月23日
カメラ
高いカメラを使うと写真に重みが出るんですよ。


第八回 8月30日
写真集
既存の写真集のかたちにこだわる必要はないんですよ。本はオブジェでもあるわけだから。


第九回 9月6日
考えと写真
自分の考えと写真が一致するのにはだいたい10年くらいかかりますよ。


第十回 9月13日
個展
まず個展をしたほうがいいですよ。90点くらいかなと思ったら40点だったとか、自分の実力がわかるから。


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金村修の言葉 2021年2期

第一回 4月12日
写真のリアリティ
写真は現実の複写だから。写真のリアリティは複写に使っているメディアのリアリティ。


第二回 4月19日
プリント
音楽に絶対音感があるようにプリントにもセンスがあるんですよ。俺のトーンはこれ、と決めてその通りにプリントできる人はセンスがある。


第三回 4月26日
写真
(写真の傾向が)分裂してないと面白くない。本来作家は分裂してるものだから。


第四回 5月3日
暗室
撮ったときにはいいもの撮れたと思っても、暗室で見るとがっかりする。それが普通ですよ。


第五回 5月10日
画面構成
構成的な写真ですね。撮るものがなくなってくると構成的になるんですよ。


第六回 5月17日
テキスト
文章も写真のように扱うんですよ。


第七回 5月24日
タイミング
過去のものを出すのは十年くらいたってから。あ、こんなもの撮ってたんだな、ってなって初めて客観的に見られるから。


第八回 5月31日
—特別講義—


第九回 6月7日
影響
影響を受けるっていいことなんですよ。影響を受けないなら、作品を見てたってつまらないじゃない?


第十回 6月14日
意味
どうでもいい写真を撮るって難しいよね。どんな写真でも意味を持っちゃうから。


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金村修の言葉 2021年1期

第一回 1月11日
主観性
考古学っぽいってのはいいかな。主観性が抜けてるってことだから。心の片鱗を見せようなんて思うとろくなことにならないから。


第二回 1月18日
文章
写真を撮るように文章を書くといいですよ。形容詞を省いた文章。後藤明生の小説が参考になります。写真を見るように文章を書いている。


第三回 1月25日
仲間
写真家はそこにいながらいない。仲間になれないわけてから。仲間になったら写真は撮れない。


第四回 2月1日
—特別講義—


第五回 2月8日
光景
写真は基本的に自分がいない光景が写るもの。
難しいんですよ、自分を無にしていくって。


第六回 2月15日
ロケハン
ロケハンなんかしてもダメ。そのときにはもう心の中で写真撮っちゃってるから。もう一回そこに行って撮ろうとしても、ぜんぜんつまんないんだよね。


第七回 2月22日
地名
地名や場所に回収されない並びにしたほうがいいですよ。


第八回 3月1日
発表
いちばん最初にどんな作品を発表するかで、その後の写真の見え方が変わるんですよ。


第九回 3月9日
抽象と具体
抽象的なものと具体的なもののバランスがいいですね。完全に抽象的じゃ無くて現実感がある。2つの要素が1つになると複雑になっていいんですよ。


第十回 3月15日
中平卓馬
(撮っている写真が)中平卓馬に行くと戻れなくなるんですよ。写真からファンタジーを排除するのが中平卓馬だから。


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金村修の言葉 2020年4期

第一回 10月12日
構図
写真集にはいろんなかたちがあるんですよ。写真集を真っ二つに切ってもいいし、ドリルで穴を開けたっていいし、他人の写真集の上に写真を貼ったっていいんです。


第二回 10月19日
作品
作品にするなら何らかのくくりは必要。ないと「いい写真だね」で終わりだから。


第三回 10月26日
構図
歩いているときの不安定な感覚が写真に出てるから面白いんですよ。


第四回 11月2日
ステートメント
アーティストは要約されるのを拒否しなくちゃ。どうしても要約できない過剰な部分があるから作品があるんだから。


第五回 11月9日
ピント
ピントが合ってない写真がいいですね。時代はピンボケですよ。


第六回 11月16日
引用
写真自体が引用だからね。こうやって何もかも写真にしてしまうんですよ。


第七回 11月23日
展示模型
模型通りに現実はいかないんですよ。模型がの面白いのはそこ。建築も模型のほうが面白い。「第三インターナショナル記念塔」とか。


第八回 11月30日
見せる
ぜんぶ見せなくていい。写真家で失敗しがちなのがなんでも見せちゃうこと。


第九回 12月7日
写真と場所
固有名詞のある場所に頼らないほうがいいんですよ。(この写真群に)「収容所群島」ってタイトルつけたら写真が違って見えますよね。


第十回 12月14日
展示方法
グリッドに並べると作品っぽく見えるから危険なんですよ。


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金村修の言葉 2020年3期

第一回 7月13日
構図
構図考えてるなって、見てすぐにわかる写真なんて面白くないですよ。


第二回 7月20日
芸術
芸術はそう簡単に要約できませんよ。


第三回 7月27日
世界観
世界観ができているからあとは枚数。世界観ができてるのがいちばん重要だから。


第四回 8月3日
タイトル
(タイトルをつけるときに意識していることは? という質問に答えて)なるべく曖昧に。俺の写真で「東京ごちゃごちゃ」って付けたらあたりまえじゃない? タイトルによって見え方が変わるようにするんですよ。


第五回 8月10日
思い
特別な思いはないほうがいいんですよ!
あってもなくても写真には写らないから。


第六回 8月17日
物質性
モノが具体的に写っているもののほうが面白いですね。水のように物質性の弱い写真はロマンチックに見えたり、ノスタルジーに回収されやすいんですよ。


第七回 8月24日
破壊
音楽でもまとまってるなと思ったら、ぶち壊すんですよ。超絶技巧のジャズメンが若くて下手なベーシストを入れたり。ドイツのカンなんかわざと下手なボーカルに歌わせたりしてるんですよ。


第八回 8月31日
画角
写真は画角を考えて撮るもんじゃないんですよ。何ミリにしようか考えてると逃しちゃいますよ。


第九回 9月7日
レンズ
望遠レンズは暴力的だから。世界を切り刻みたいっていう欲望の発露なんですよ。


第十回 9月14日
展示
自分でやりすぎかなって思ったくらいがちょうどいいんですよ。考えない、手は加えない。機械が撮ったように見えるから面白いんです。


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金村修の言葉 2020年2期

第一回 4月13日
真似る
その場所が好きだから撮るんじゃない。好きな写真家の写真を見て、真似るならこういう場所がいいな、って考えるんですよ。あなたが長野重一さんの写真が好きなんだったら、歩道橋の上かから撮ってみようとか。


第二回 4月20日
コラージュ
調和ってコラージュじゃないんだよね。違和感があるのがコラージュだから。


第三回 4月27日

空ほど撮ってて飽きないものはないんですよ。(その写真を)見てつまんないものもないんだけど。


第四回 5月4日
映像
素材はいっぱいあったほうがいいよね。少なくとも3倍は必要。60分撮って20分。


第五回 5月11日
暗室で
(暗室でプリントをするときに)わざとほこりを残すんですよ。ラボで頼むときれいにほこりを取られちゃうから、残すように言いますね。何度もお願いしていると、だんだんわかってくる。「これはいいほこりですね」とプリンターのほうから言ってきますよ。


第六回 5月18日
日傘のススメ
これ、傘さしながら撮ったんですか。いいですね。晴れてても傘をさすといいですよ。かっこいいじゃないですか。(写真を撮るときに)自由に動けるっていいことじゃないんですよ。不自由なほうがいいんです。傘はいいですよね。知り合いが来たら顔を隠せるし。


第七回 5月25日
セレクト
ゆかいな写真があってもいいんですよ。セレクトの時に、ゆかいバージョンとゆかいじゃないバージョンつくればいいじゃない? 集めた写真で見え方が変わるんですよ。


第八回 6月1日
展示
展示っていうのは動線が大事だから。まっすぐ歩いたってつまらないじゃない。


第九回 6月8日
作家
いい作家は周りに違和感感じてるんですよ。


第十回 6月15日
セレクト
毎日見るといいですよ。5分か10分でいいんです。俺の友達でセレクションのために仕事やめたやつがいるんですけど、何時間も見ちゃだめですよ。写真は第一印象だから。愛着があると選べないんですよ。

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金村修の言葉 2020年1期

第一回 1月13日
撮ること
上手いとか下手とかじゃなくて。まず量を撮ること自体に訓練が必要だから。


第二回 1月20日
写真
整うとつまらなくなるんだよ。バンクバンドなんかそう。レコード聴くとつまんない。スタジオ・ミュージシャンが入ってるからなんだよね。


第三回 1月27日
物質性
写真に物質性を与えようと思ったら、額装から物質性を亡くすんだよ。映画は物質性を感じるじゃない? それは映画のスクリーンが物質性を感じさせないから。


第四回 2月3日

写真に具体的な物質性を持たせるには、額の物質性は邪魔になるんですよ。写真はイメージに徹することで重みが出てくるわけだから、額に重みを出さないほうがいいんです。


第五回 2月10日
写真家
これからの写真家は手を動かすことが増えますよ。昔は昼間写真撮ったら夜はは酒飲んでればよかったけど。


第六回 2月17日
写真史
写真を発表するってことは、写真の歴史の中に入るってことだから。自分がどの歴史に入るかは考えておいたほうがいいですよ。なかったら作っちゃえばいいんですよ、歴史を。歴史なんかそれ自体がフェイクなんだから。


第七回 2月24日
イメージと物質
イメージと物質、両方重要だから。自分の実存と外界の物質が衝突してるわけじゃない? 物質を強調することで見えないものを見ようとしているわけだから。


第八回 3月2日
被写体
面白いものを撮るときには警戒したほうがいいんですよ。肉眼で印象的だと工夫しないから。


第九回 3月9日
個展
ミュージシャンがライブハウスに出るのと一緒だよ。小さいところで練習して、ホールでいままでのものをばーんと出すんだよ。


第十回 3月16日
展示
完成された展示じゃないほうがいいんですよ。
世界を探ってる感じがするから。

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金村修の言葉 2019年3期

第一回 10月14日
縛り
自分が何を撮ってるのか。言葉を発見するとそれに縛られちゃうんだよね。見てる人は作者が何に縛られてるかわかるんだけど、それが何? と思っちゃうから。


第二回 10月21日
写真
写真はちょっとダサいくらいがカッコいいんですよ。


第三回 10月28日
画面
画面をフォルマリスティックにすると感情が消えるんですよ。


第四回 11月4日
パンダ
動物園のパンダを撮るのっては難しいね。俺も上海の動物園で撮ったことあるけど可愛くなっちゃうんだよね。転がって寝てるだけで人気が出るんだから、簡単でいいよね。


第五回 11月11日
日常写真
日常写真でいちばん怖いなと思ったのは安村(崇)さん。わざわざ夜中にライティングして撮ってるんですよ、昼間撮ればいいじゃん、と思うんだけど、不気味さがハンパないんです。


第六回 11月18日
プリント
(写真を)大きく伸ばすのは自己満足のためじゃなくて、欠点を見つけるため。ここが空きすぎだなあとか、大きく伸ばすと弱点が見えてくるんですよ。


第七回 11月25日
プリント
(暗室で印画紙にプリントするときに)細かく露光テストをとりすぎないほうがいいですよ。思い切ってテストを取らないでプリントしてみるとか。全紙だったりするとハラハラしますよ!


第八回 12月9日
意味
自分でも意味がわからないでやっているのはいいと思うんだよね。理路整然としていてつまらないものってたくさんあるから。


第九回 12月16日
テーマ
ずっと撮り続けるつもりなら、テーマはあんまり決めないほうがいいと想う。そのほうが(作品としては)早くまとまるけど、早くまとまっても意味ないでしょう。


第十回 12月23日
展示の準備
倍とは言わないけど、10枚くらいは多めにあったほうがいいよ。並べてみると違うから。


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金村修の言葉 2019年2期

第一回 7月22日
視点
グリーン車から撮るっていいですよ。庶民の視点からものを見ない。


第二回 7月29日
展示
展示にはコツがあるんですよ。基本はシンメトリー。それをちょっと崩して。できない人もいるんだよ、俺みたいに。でもそれも才能だから。


第三回 8月5日
素材
ダンボールを使うなら、ネオ・ダダの(ロバート・)ラウシェンバーグを見るといいですよ。ダンボールに絵を描いたりしてるんだけど、その貧しさが意味を持ったりしているから。


第四回 8月12日
昔のネガ
昔のネガを見返すと面白いよ。たまーに見返すと「どうしてこれ焼かなかったんだろう」って思うカットがあるんですよ。だからってそれを焼くわけじゃないんだけど。


第五回 8月19日
被写体
デザインされたものを撮るのは難しい。デザインした人にはどうしても勝てないから。


第六回 8月26日
アーティスト
クリストの初期の作品がいいんですよ。「ドラム缶の壁、鉄のカーテン」(1962)なんてパリの路上でゲリラ的に展示してる。昔のアーティストは社会に迷惑をかけるのも仕事だったんです。心を踏みにじるくらいなんでもないですよ。


第七回 9月2日
撮っているのは
そのものを撮るのか、ものから派生するものを撮るのか。撮り方によって変わるわけじゃない? どちらかに振ったほうがいい。何でもかんでも撮るなんて、コマーシャルカメラマンじゃないんだから。


第八回 9月16日
フォーカス
ピントが合ってない写真が入っていたほうがいいこともあるから。


第九回 9月23日
組み合わせ
単純にいい雰囲気の写真ってだけだと、それで終わっちゃうじゃない? 新しい組み合わせを考えると新しい写真になるから。


第十回 9月30日
写真を見る/見せる
写真集は写真を見せるためのものじゃないんですよ。写真を見せたいなら展示。写真は印刷物だから。


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金村修の言葉 2019年1期

第一回 1月7日
「良い」写真
その写真が「良い」「悪い」を判断するのは美学。美学の根拠となるのが政治。最終的には政治に切り込んでいかないと「良い」「悪い」は決められないんですよ。


第二回 1月14日

画面いっぱいにモノが写ってるほうがおもしろいじゃない? 空がなんでつまらないかっていうと粒子しかないから。


第三回 1月21日
個展
個展に作家がいる必要ってそんなにないんですよ。俺がいるのは初日と最終日だけ。


第四回 1月28日
被写体
毎日撮るといいですよ。何でも。同じようなものを撮るようになるかもしれないけど、同じようなものって面白いから。同じようなものでも、なんか撮り方違うなってわかってくるところがいいんですよ。


第五回 2月4日
ピント
俺のピントは無限遠。引けば引くほどうるさくなる。情報量が増えるから。


第六回 2月11日
シャッターを切るとき
写真はこうだって決めて撮るよりも、自分の生理っていうかさ、気持ちよさに忠実じゃないとと続けられないですよ。誰かの真似してもしょうがないしさ。


第七回 2月18日
天気
曇ってるといいこともあるんですよ。全方位から撮れるから。


第八回 2月25日
撮影
「素敵ですね」とか言って撮れば、悪い顔はされないですよ。


第九回 3月4日
動画
映像が自立していないと音楽に負けるんですよ。


第十回 3月11日
編集
知的な人は、あえてどうでもいい写真を入れるんですよ。嫌でしょう、自分が頭がいいってことをひけらかすのは。


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