金村修の言葉 2022年2期

第一回 5月16日
想定
(写真は)作者が見ていないところが面白いんですよ。想定していないものが入ってくる面白さっていうのかな。


第二回 5月23日
展示
絵だと展示にあまりよくない絵が混じってるとテンション落ちるけど、写真の場合は、いい写真とそうでもない写真が混じっていてもいいんですよ。意外とそれが面白かったりするから。


第三回 5月30日
強度
この写真には強度があるんですよ。トリミングできないくらいフレーミングがしっかりしているんですよね。弱い写真はトリミングしたくなるんですよ。


第四回 6月6日

写真なんか神頼みですよ。その角を右に曲がるか左に曲がるかで、撮れる写真が違うんだから。


第五回 6月13日
フィルムとデジタル
フィルムとデジタルを比較したら、デジタルのほうが絶対きれいなんですよ。フィルムが面白いのは、汚いこと、不自由なことをあえてやるときなんです。


第六回 6月20日
ステートメント
写真には文章に収まりきらない面白さがあるんですよ。ステートメントは写真を説明するためじゃなく、写真を生かすために書くんです。


第七回 6月27日
編集
あわてて編集したほうがいいんですよ。直感とか勢いが重要。そうやって日々追い詰められていくのがいいんです。


第八回 7月4日
ストリートスナップ
ストリートスナップは新しくもないけど古びるものでもない。ある種の公共財産のようなもの。ストリートスナップは写真界の集合的無意識なんですよ。


第九回 7月11日
Victor Siraさんによる特別講義


第十回 7月18日
アイディア
初発のアイディアがいい人っているんですよ。ミュージシャンでもデモのほうがいいって人がいるから。


金村修の言葉 2022年1期

第一回 2月21日
拡張
写真を拡張していこうと思ったら、作家が原理を持っていないとできないんですよ。


第二回 2月28日
バランス
美術家ってバランスとっちゃうんですよ。コンポジションとかアカデミックに勉強してる人は。写真家は機械が写すからバランス悪いまま撮っちゃうことがあるんです。それは普通の美術家にできないことなんですよね。


第三回 3月7日
記録
記録に感情はないんですよ。


第四回 3月14日
写真
モノクロだけやってたときから(自分がやっていることが)写真だなんて思ってなかったよ。コラージュ。だから四段掛けだし。


第五回 3月21日
写真と言葉
言葉と写真が完全に合うことって絶対にないから。言葉が刺激になって写真の見え方が変わるんですよ。


第六回 3月28日
作品
作品って自分で把握できないんですよ。


第七回 4月4日
憑依
よく写真を「自分の無意識が」って言う人がいるけど違うと思う。どっちかと言えば「憑依」。外からくるから。


第八回 4月11日
意識の地獄
写真は主体的なものじゃない。僕は何十年も写真を撮ってるけど主体性が崩れていきますよね。(中平卓馬が言う)「意識の地獄」からわりあい自然に抜けてきますね。
(中平卓馬の研究者フランツ・プリチャードさんの特別講義についてのコメント)


第九回 4月18日
作家
世界をどう名付けるか。それが作家の仕事なんですよ。


第十回 4月25日
見せ方
自分のコアにあるものを固めないと。見せ方だけ新しくしたってしょうがないでしょう。


金村修の言葉 2021年4期

第一回 11月29日
カメラ
重いカメラを使えば使うほど写真が重くなってくるんですよ。


第二回 12月6日
被写体
同じようなものが続いてもいいんですよ。まったく同じものはないんです。同じ瞬間はないんですから。


第三回 12月13日
動画
フレームすること。現実から区切ること。そこから映画が始まるんですよ。


第四回 12月20日
インスピレーション
(ウォルフガング・)ティルマンスを日本で真似る人はたいてい失敗するんですよ。情感を出しちゃうから。写真と写真の“間”は情感を出すためじゃないから。


第五回 12月27日
撮影
今日撮ってつまらない写真でも、明日撮るとおもしろくなることってあるんですよ。持続的に撮ることで面白くなることがあるんです。


第六回 1月10日
焦って撮る
これを撮らなければこの瞬間はなくなってしまうと焦って撮るんですよ。土門拳だって「仏像は走ってる」って言ってるんだから。


第七回 1月17日
タイトル
タイトルが決ると自分の写真が見えてくるんですよ。


第八回 1月24日
—特別講義—


第九回 1月31日
写真
写真に撮ってはじめてわかることってあるんですよ。俺も東京を撮るまで汚いなんて思ってなかったし。写真を見て、意外と下品だな、と。


第十回 2月7日
作品
いつでもどこでも自分の作品をつくる。それが作家なんですよ。クライアントの要請に応えましょ、なんて作家じゃないから。


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金村修の言葉 2021年3期

第一回 7月12日
バラツキ
バラツキを出そうとしなくていいですよ。似たような写真が並んでいいんです。バラツキを出すのは、基本的なところができてからじゃないと逆に難しいんですよ。


第二回 7月19日
ZINEの構成
終わろうと思って写真を選ぶとよくないんですよ。終わろうって終わる音楽ってかっこわるいじゃない? ブチって切れて終わったほうがいいんですよ。


第三回 7月26日
晴れた日
わざわざ曇りの日に撮って写真を揃えようとしなくてもいいんですよ。日本は晴れの日が多いんだから。


第四回 8月2日
タイトル
展示のたびにタイトルを変える。タイトルについて考えることは、自分の写真について考えることになるから。


第五回 8月9日
—特別講義—


第六回 8月16日
動画編集
動画編集は無音でつないだほうがいいんですよ。音なしでリズム感が出るように編集して、後で音をつけるんです。


第七回 8月23日
カメラ
高いカメラを使うと写真に重みが出るんですよ。


第八回 8月30日
写真集
既存の写真集のかたちにこだわる必要はないんですよ。本はオブジェでもあるわけだから。


第九回 9月6日
考えと写真
自分の考えと写真が一致するのにはだいたい10年くらいかかりますよ。


第十回 9月13日
個展
まず個展をしたほうがいいですよ。90点くらいかなと思ったら40点だったとか、自分の実力がわかるから。


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金村修の言葉 2021年2期

第一回 4月12日
写真のリアリティ
写真は現実の複写だから。写真のリアリティは複写に使っているメディアのリアリティ。


第二回 4月19日
プリント
音楽に絶対音感があるようにプリントにもセンスがあるんですよ。俺のトーンはこれ、と決めてその通りにプリントできる人はセンスがある。


第三回 4月26日
写真
(写真の傾向が)分裂してないと面白くない。本来作家は分裂してるものだから。


第四回 5月3日
暗室
撮ったときにはいいもの撮れたと思っても、暗室で見るとがっかりする。それが普通ですよ。


第五回 5月10日
画面構成
構成的な写真ですね。撮るものがなくなってくると構成的になるんですよ。


第六回 5月17日
テキスト
文章も写真のように扱うんですよ。


第七回 5月24日
タイミング
過去のものを出すのは十年くらいたってから。あ、こんなもの撮ってたんだな、ってなって初めて客観的に見られるから。


第八回 5月31日
—特別講義—


第九回 6月7日
影響
影響を受けるっていいことなんですよ。影響を受けないなら、作品を見てたってつまらないじゃない?


第十回 6月14日
意味
どうでもいい写真を撮るって難しいよね。どんな写真でも意味を持っちゃうから。


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金村修の言葉 2021年1期

第一回 1月11日
主観性
考古学っぽいってのはいいかな。主観性が抜けてるってことだから。心の片鱗を見せようなんて思うとろくなことにならないから。


第二回 1月18日
文章
写真を撮るように文章を書くといいですよ。形容詞を省いた文章。後藤明生の小説が参考になります。写真を見るように文章を書いている。


第三回 1月25日
仲間
写真家はそこにいながらいない。仲間になれないわけてから。仲間になったら写真は撮れない。


第四回 2月1日
—特別講義—


第五回 2月8日
光景
写真は基本的に自分がいない光景が写るもの。
難しいんですよ、自分を無にしていくって。


第六回 2月15日
ロケハン
ロケハンなんかしてもダメ。そのときにはもう心の中で写真撮っちゃってるから。もう一回そこに行って撮ろうとしても、ぜんぜんつまんないんだよね。


第七回 2月22日
地名
地名や場所に回収されない並びにしたほうがいいですよ。


第八回 3月1日
発表
いちばん最初にどんな作品を発表するかで、その後の写真の見え方が変わるんですよ。


第九回 3月9日
抽象と具体
抽象的なものと具体的なもののバランスがいいですね。完全に抽象的じゃ無くて現実感がある。2つの要素が1つになると複雑になっていいんですよ。


第十回 3月15日
中平卓馬
(撮っている写真が)中平卓馬に行くと戻れなくなるんですよ。写真からファンタジーを排除するのが中平卓馬だから。


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金村修の言葉 2020年4期

第一回 10月12日
構図
写真集にはいろんなかたちがあるんですよ。写真集を真っ二つに切ってもいいし、ドリルで穴を開けたっていいし、他人の写真集の上に写真を貼ったっていいんです。


第二回 10月19日
作品
作品にするなら何らかのくくりは必要。ないと「いい写真だね」で終わりだから。


第三回 10月26日
構図
歩いているときの不安定な感覚が写真に出てるから面白いんですよ。


第四回 11月2日
ステートメント
アーティストは要約されるのを拒否しなくちゃ。どうしても要約できない過剰な部分があるから作品があるんだから。


第五回 11月9日
ピント
ピントが合ってない写真がいいですね。時代はピンボケですよ。


第六回 11月16日
引用
写真自体が引用だからね。こうやって何もかも写真にしてしまうんですよ。


第七回 11月23日
展示模型
模型通りに現実はいかないんですよ。模型がの面白いのはそこ。建築も模型のほうが面白い。「第三インターナショナル記念塔」とか。


第八回 11月30日
見せる
ぜんぶ見せなくていい。写真家で失敗しがちなのがなんでも見せちゃうこと。


第九回 12月7日
写真と場所
固有名詞のある場所に頼らないほうがいいんですよ。(この写真群に)「収容所群島」ってタイトルつけたら写真が違って見えますよね。


第十回 12月14日
展示方法
グリッドに並べると作品っぽく見えるから危険なんですよ。


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金村修の言葉 2020年3期

第一回 7月13日
構図
構図考えてるなって、見てすぐにわかる写真なんて面白くないですよ。


第二回 7月20日
芸術
芸術はそう簡単に要約できませんよ。


第三回 7月27日
世界観
世界観ができているからあとは枚数。世界観ができてるのがいちばん重要だから。


第四回 8月3日
タイトル
(タイトルをつけるときに意識していることは? という質問に答えて)なるべく曖昧に。俺の写真で「東京ごちゃごちゃ」って付けたらあたりまえじゃない? タイトルによって見え方が変わるようにするんですよ。


第五回 8月10日
思い
特別な思いはないほうがいいんですよ!
あってもなくても写真には写らないから。


第六回 8月17日
物質性
モノが具体的に写っているもののほうが面白いですね。水のように物質性の弱い写真はロマンチックに見えたり、ノスタルジーに回収されやすいんですよ。


第七回 8月24日
破壊
音楽でもまとまってるなと思ったら、ぶち壊すんですよ。超絶技巧のジャズメンが若くて下手なベーシストを入れたり。ドイツのカンなんかわざと下手なボーカルに歌わせたりしてるんですよ。


第八回 8月31日
画角
写真は画角を考えて撮るもんじゃないんですよ。何ミリにしようか考えてると逃しちゃいますよ。


第九回 9月7日
レンズ
望遠レンズは暴力的だから。世界を切り刻みたいっていう欲望の発露なんですよ。


第十回 9月14日
展示
自分でやりすぎかなって思ったくらいがちょうどいいんですよ。考えない、手は加えない。機械が撮ったように見えるから面白いんです。


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金村修の言葉 2020年2期

第一回 4月13日
真似る
その場所が好きだから撮るんじゃない。好きな写真家の写真を見て、真似るならこういう場所がいいな、って考えるんですよ。あなたが長野重一さんの写真が好きなんだったら、歩道橋の上かから撮ってみようとか。


第二回 4月20日
コラージュ
調和ってコラージュじゃないんだよね。違和感があるのがコラージュだから。


第三回 4月27日

空ほど撮ってて飽きないものはないんですよ。(その写真を)見てつまんないものもないんだけど。


第四回 5月4日
映像
素材はいっぱいあったほうがいいよね。少なくとも3倍は必要。60分撮って20分。


第五回 5月11日
暗室で
(暗室でプリントをするときに)わざとほこりを残すんですよ。ラボで頼むときれいにほこりを取られちゃうから、残すように言いますね。何度もお願いしていると、だんだんわかってくる。「これはいいほこりですね」とプリンターのほうから言ってきますよ。


第六回 5月18日
日傘のススメ
これ、傘さしながら撮ったんですか。いいですね。晴れてても傘をさすといいですよ。かっこいいじゃないですか。(写真を撮るときに)自由に動けるっていいことじゃないんですよ。不自由なほうがいいんです。傘はいいですよね。知り合いが来たら顔を隠せるし。


第七回 5月25日
セレクト
ゆかいな写真があってもいいんですよ。セレクトの時に、ゆかいバージョンとゆかいじゃないバージョンつくればいいじゃない? 集めた写真で見え方が変わるんですよ。


第八回 6月1日
展示
展示っていうのは動線が大事だから。まっすぐ歩いたってつまらないじゃない。


第九回 6月8日
作家
いい作家は周りに違和感感じてるんですよ。


第十回 6月15日
セレクト
毎日見るといいですよ。5分か10分でいいんです。俺の友達でセレクションのために仕事やめたやつがいるんですけど、何時間も見ちゃだめですよ。写真は第一印象だから。愛着があると選べないんですよ。

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金村修の言葉 2020年1期

第一回 1月13日
撮ること
上手いとか下手とかじゃなくて。まず量を撮ること自体に訓練が必要だから。


第二回 1月20日
写真
整うとつまらなくなるんだよ。バンクバンドなんかそう。レコード聴くとつまんない。スタジオ・ミュージシャンが入ってるからなんだよね。


第三回 1月27日
物質性
写真に物質性を与えようと思ったら、額装から物質性を亡くすんだよ。映画は物質性を感じるじゃない? それは映画のスクリーンが物質性を感じさせないから。


第四回 2月3日

写真に具体的な物質性を持たせるには、額の物質性は邪魔になるんですよ。写真はイメージに徹することで重みが出てくるわけだから、額に重みを出さないほうがいいんです。


第五回 2月10日
写真家
これからの写真家は手を動かすことが増えますよ。昔は昼間写真撮ったら夜はは酒飲んでればよかったけど。


第六回 2月17日
写真史
写真を発表するってことは、写真の歴史の中に入るってことだから。自分がどの歴史に入るかは考えておいたほうがいいですよ。なかったら作っちゃえばいいんですよ、歴史を。歴史なんかそれ自体がフェイクなんだから。


第七回 2月24日
イメージと物質
イメージと物質、両方重要だから。自分の実存と外界の物質が衝突してるわけじゃない? 物質を強調することで見えないものを見ようとしているわけだから。


第八回 3月2日
被写体
面白いものを撮るときには警戒したほうがいいんですよ。肉眼で印象的だと工夫しないから。


第九回 3月9日
個展
ミュージシャンがライブハウスに出るのと一緒だよ。小さいところで練習して、ホールでいままでのものをばーんと出すんだよ。


第十回 3月16日
展示
完成された展示じゃないほうがいいんですよ。
世界を探ってる感じがするから。

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