金村修の言葉 2021年1期

第一回 1月11日
主観性
考古学っぽいってのはいいかな。主観性が抜けてるってことだから。心の片鱗を見せようなんて思うとろくなことにならないから。


第二回 1月18日
文章
写真を撮るように文章を書くといいですよ。形容詞を省いた文章。後藤明生の小説が参考になります。写真を見るように文章を書いている。


第三回 1月25日
仲間
写真家はそこにいながらいない。仲間になれないわけてから。仲間になったら写真は撮れない。


第四回 2月1日
—特別講義—


第五回 2月8日
光景
写真は基本的に自分がいない光景が写るもの。
難しいんですよ、自分を無にしていくって。


第六回 2月15日
ロケハン
ロケハンなんかしてもダメ。そのときにはもう心の中で写真撮っちゃってるから。もう一回そこに行って撮ろうとしても、ぜんぜんつまんないんだよね。


第七回 2月22日
地名
地名や場所に回収されない並びにしたほうがいいですよ。


第八回 3月1日
発表
いちばん最初にどんな作品を発表するかで、その後の写真の見え方が変わるんですよ。


第九回 3月9日
抽象と具体
抽象的なものと具体的なもののバランスがいいですね。完全に抽象的じゃ無くて現実感がある。2つの要素が1つになると複雑になっていいんですよ。


第十回 3月15日
中平卓馬
(撮っている写真が)中平卓馬に行くと戻れなくなるんですよ。写真からファンタジーを排除するのが中平卓馬だから。


>>Back to REPORT

金村修の言葉 2020年4期

第一回 10月12日
構図
写真集にはいろんなかたちがあるんですよ。写真集を真っ二つに切ってもいいし、ドリルで穴を開けたっていいし、他人の写真集の上に写真を貼ったっていいんです。


第二回 10月19日
作品
作品にするなら何らかのくくりは必要。ないと「いい写真だね」で終わりだから。


第三回 10月26日
構図
歩いているときの不安定な感覚が写真に出てるから面白いんですよ。


第四回 11月2日
ステートメント
アーティストは要約されるのを拒否しなくちゃ。どうしても要約できない過剰な部分があるから作品があるんだから。


第五回 11月9日
ピント
ピントが合ってない写真がいいですね。時代はピンボケですよ。


第六回 11月16日
引用
写真自体が引用だからね。こうやって何もかも写真にしてしまうんですよ。


第七回 11月23日
展示模型
模型通りに現実はいかないんですよ。模型がの面白いのはそこ。建築も模型のほうが面白い。「第三インターナショナル記念塔」とか。


第八回 11月30日
見せる
ぜんぶ見せなくていい。写真家で失敗しがちなのがなんでも見せちゃうこと。


第九回 12月7日
写真と場所
固有名詞のある場所に頼らないほうがいいんですよ。(この写真群に)「収容所群島」ってタイトルつけたら写真が違って見えますよね。


第十回 12月14日
展示方法
グリッドに並べると作品っぽく見えるから危険なんですよ。


>>Back to REPORT

金村修の言葉 2020年3期

第一回 7月13日
構図
構図考えてるなって、見てすぐにわかる写真なんて面白くないですよ。


第二回 7月20日
芸術
芸術はそう簡単に要約できませんよ。


第三回 7月27日
世界観
世界観ができているからあとは枚数。世界観ができてるのがいちばん重要だから。


第四回 8月3日
タイトル
(タイトルをつけるときに意識していることは? という質問に答えて)なるべく曖昧に。俺の写真で「東京ごちゃごちゃ」って付けたらあたりまえじゃない? タイトルによって見え方が変わるようにするんですよ。


第五回 8月10日
思い
特別な思いはないほうがいいんですよ!
あってもなくても写真には写らないから。


第六回 8月17日
物質性
モノが具体的に写っているもののほうが面白いですね。水のように物質性の弱い写真はロマンチックに見えたり、ノスタルジーに回収されやすいんですよ。


第七回 8月24日
破壊
音楽でもまとまってるなと思ったら、ぶち壊すんですよ。超絶技巧のジャズメンが若くて下手なベーシストを入れたり。ドイツのカンなんかわざと下手なボーカルに歌わせたりしてるんですよ。


第八回 8月31日
画角
写真は画角を考えて撮るもんじゃないんですよ。何ミリにしようか考えてると逃しちゃいますよ。


第九回 9月7日
レンズ
望遠レンズは暴力的だから。世界を切り刻みたいっていう欲望の発露なんですよ。


第十回 9月14日
展示
自分でやりすぎかなって思ったくらいがちょうどいいんですよ。考えない、手は加えない。機械が撮ったように見えるから面白いんです。


>>Back to REPORT

金村修の言葉 2020年2期

第一回 4月13日
真似る
その場所が好きだから撮るんじゃない。好きな写真家の写真を見て、真似るならこういう場所がいいな、って考えるんですよ。あなたが長野重一さんの写真が好きなんだったら、歩道橋の上かから撮ってみようとか。


第二回 4月20日
コラージュ
調和ってコラージュじゃないんだよね。違和感があるのがコラージュだから。


第三回 4月27日

空ほど撮ってて飽きないものはないんですよ。(その写真を)見てつまんないものもないんだけど。


第四回 5月4日
映像
素材はいっぱいあったほうがいいよね。少なくとも3倍は必要。60分撮って20分。


第五回 5月11日
暗室で
(暗室でプリントをするときに)わざとほこりを残すんですよ。ラボで頼むときれいにほこりを取られちゃうから、残すように言いますね。何度もお願いしていると、だんだんわかってくる。「これはいいほこりですね」とプリンターのほうから言ってきますよ。


第六回 5月18日
日傘のススメ
これ、傘さしながら撮ったんですか。いいですね。晴れてても傘をさすといいですよ。かっこいいじゃないですか。(写真を撮るときに)自由に動けるっていいことじゃないんですよ。不自由なほうがいいんです。傘はいいですよね。知り合いが来たら顔を隠せるし。


第七回 5月25日
セレクト
ゆかいな写真があってもいいんですよ。セレクトの時に、ゆかいバージョンとゆかいじゃないバージョンつくればいいじゃない? 集めた写真で見え方が変わるんですよ。


第八回 6月1日
展示
展示っていうのは動線が大事だから。まっすぐ歩いたってつまらないじゃない。


第九回 6月8日
作家
いい作家は周りに違和感感じてるんですよ。


第十回 6月15日
セレクト
毎日見るといいですよ。5分か10分でいいんです。俺の友達でセレクションのために仕事やめたやつがいるんですけど、何時間も見ちゃだめですよ。写真は第一印象だから。愛着があると選べないんですよ。

>>Back to REPORT

金村修の言葉 2020年1期

第一回 1月13日
撮ること
上手いとか下手とかじゃなくて。まず量を撮ること自体に訓練が必要だから。


第二回 1月20日
写真
整うとつまらなくなるんだよ。バンクバンドなんかそう。レコード聴くとつまんない。スタジオ・ミュージシャンが入ってるからなんだよね。


第三回 1月27日
物質性
写真に物質性を与えようと思ったら、額装から物質性を亡くすんだよ。映画は物質性を感じるじゃない? それは映画のスクリーンが物質性を感じさせないから。


第四回 2月3日

写真に具体的な物質性を持たせるには、額の物質性は邪魔になるんですよ。写真はイメージに徹することで重みが出てくるわけだから、額に重みを出さないほうがいいんです。


第五回 2月10日
写真家
これからの写真家は手を動かすことが増えますよ。昔は昼間写真撮ったら夜はは酒飲んでればよかったけど。


第六回 2月17日
写真史
写真を発表するってことは、写真の歴史の中に入るってことだから。自分がどの歴史に入るかは考えておいたほうがいいですよ。なかったら作っちゃえばいいんですよ、歴史を。歴史なんかそれ自体がフェイクなんだから。


第七回 2月24日
イメージと物質
イメージと物質、両方重要だから。自分の実存と外界の物質が衝突してるわけじゃない? 物質を強調することで見えないものを見ようとしているわけだから。


第八回 3月2日
被写体
面白いものを撮るときには警戒したほうがいいんですよ。肉眼で印象的だと工夫しないから。


第九回 3月9日
個展
ミュージシャンがライブハウスに出るのと一緒だよ。小さいところで練習して、ホールでいままでのものをばーんと出すんだよ。


第十回 3月16日
展示
完成された展示じゃないほうがいいんですよ。
世界を探ってる感じがするから。

>>Back to REPORT

金村修の言葉 2019年3期

第一回 10月14日
縛り
自分が何を撮ってるのか。言葉を発見するとそれに縛られちゃうんだよね。見てる人は作者が何に縛られてるかわかるんだけど、それが何? と思っちゃうから。


第二回 10月21日
写真
写真はちょっとダサいくらいがカッコいいんですよ。


第三回 10月28日
画面
画面をフォルマリスティックにすると感情が消えるんですよ。


第四回 11月4日
パンダ
動物園のパンダを撮るのっては難しいね。俺も上海の動物園で撮ったことあるけど可愛くなっちゃうんだよね。転がって寝てるだけで人気が出るんだから、簡単でいいよね。


第五回 11月11日
日常写真
日常写真でいちばん怖いなと思ったのは安村(崇)さん。わざわざ夜中にライティングして撮ってるんですよ、昼間撮ればいいじゃん、と思うんだけど、不気味さがハンパないんです。


第六回 11月18日
プリント
(写真を)大きく伸ばすのは自己満足のためじゃなくて、欠点を見つけるため。ここが空きすぎだなあとか、大きく伸ばすと弱点が見えてくるんですよ。


第七回 11月25日
プリント
(暗室で印画紙にプリントするときに)細かく露光テストをとりすぎないほうがいいですよ。思い切ってテストを取らないでプリントしてみるとか。全紙だったりするとハラハラしますよ!


第八回 12月9日
意味
自分でも意味がわからないでやっているのはいいと思うんだよね。理路整然としていてつまらないものってたくさんあるから。


第九回 12月16日
テーマ
ずっと撮り続けるつもりなら、テーマはあんまり決めないほうがいいと想う。そのほうが(作品としては)早くまとまるけど、早くまとまっても意味ないでしょう。


第十回 12月23日
展示の準備
倍とは言わないけど、10枚くらいは多めにあったほうがいいよ。並べてみると違うから。


>>Back to REPORT

金村修の言葉 2019年2期

第一回 7月22日
視点
グリーン車から撮るっていいですよ。庶民の視点からものを見ない。


第二回 7月29日
展示
展示にはコツがあるんですよ。基本はシンメトリー。それをちょっと崩して。できない人もいるんだよ、俺みたいに。でもそれも才能だから。


第三回 8月5日
素材
ダンボールを使うなら、ネオ・ダダの(ロバート・)ラウシェンバーグを見るといいですよ。ダンボールに絵を描いたりしてるんだけど、その貧しさが意味を持ったりしているから。


第四回 8月12日
昔のネガ
昔のネガを見返すと面白いよ。たまーに見返すと「どうしてこれ焼かなかったんだろう」って思うカットがあるんですよ。だからってそれを焼くわけじゃないんだけど。


第五回 8月19日
被写体
デザインされたものを撮るのは難しい。デザインした人にはどうしても勝てないから。


第六回 8月26日
アーティスト
クリストの初期の作品がいいんですよ。「ドラム缶の壁、鉄のカーテン」(1962)なんてパリの路上でゲリラ的に展示してる。昔のアーティストは社会に迷惑をかけるのも仕事だったんです。心を踏みにじるくらいなんでもないですよ。


第七回 9月2日
撮っているのは
そのものを撮るのか、ものから派生するものを撮るのか。撮り方によって変わるわけじゃない? どちらかに振ったほうがいい。何でもかんでも撮るなんて、コマーシャルカメラマンじゃないんだから。


第八回 9月16日
フォーカス
ピントが合ってない写真が入っていたほうがいいこともあるから。


第九回 9月23日
組み合わせ
単純にいい雰囲気の写真ってだけだと、それで終わっちゃうじゃない? 新しい組み合わせを考えると新しい写真になるから。


第十回 9月30日
写真を見る/見せる
写真集は写真を見せるためのものじゃないんですよ。写真を見せたいなら展示。写真は印刷物だから。


>>Back to REPORT

金村修の言葉 2019年1期

第一回 1月7日
「良い」写真
その写真が「良い」「悪い」を判断するのは美学。美学の根拠となるのが政治。最終的には政治に切り込んでいかないと「良い」「悪い」は決められないんですよ。


第二回 1月14日

画面いっぱいにモノが写ってるほうがおもしろいじゃない? 空がなんでつまらないかっていうと粒子しかないから。


第三回 1月21日
個展
個展に作家がいる必要ってそんなにないんですよ。俺がいるのは初日と最終日だけ。


第四回 1月28日
被写体
毎日撮るといいですよ。何でも。同じようなものを撮るようになるかもしれないけど、同じようなものって面白いから。同じようなものでも、なんか撮り方違うなってわかってくるところがいいんですよ。


第五回 2月4日
ピント
俺のピントは無限遠。引けば引くほどうるさくなる。情報量が増えるから。


第六回 2月11日
シャッターを切るとき
写真はこうだって決めて撮るよりも、自分の生理っていうかさ、気持ちよさに忠実じゃないとと続けられないですよ。誰かの真似してもしょうがないしさ。


第七回 2月18日
天気
曇ってるといいこともあるんですよ。全方位から撮れるから。


第八回 2月25日
撮影
「素敵ですね」とか言って撮れば、悪い顔はされないですよ。


第九回 3月4日
動画
映像が自立していないと音楽に負けるんですよ。


第十回 3月11日
編集
知的な人は、あえてどうでもいい写真を入れるんですよ。嫌でしょう、自分が頭がいいってことをひけらかすのは。


>>Back to REPORT

金村修の言葉 2018年4期

第一回 10月15日
プリント
黒すぎるとか白すぎるとか、批判されても気にすることはないんですよ、作家の作品だから。揃ってればいいんです。黒ければ黒く、白ければ白く。


第二回 10月22日
文脈
写真の中で考えるより外から考えたほうがいいんですよ。写真以外の文脈にどうつなげるかとか。「ベッヒャー? 誰ですか。(ドナルド・)ジャッドからの影響です」。


第三回 10月29日
展示
展示で水平を取るのが苦手なんですよ。美術館で展示したとき、80枚貼り直したことがあるんです。たまたま李禹煥がいて曲がってるって言われたから。「李先生、直します!」ってすぐに直しましたよ。


第四回 11月5日
プリント
グレートーンは感情が抜かれている感じがいいですよね。今日やったの俺のプリント黒かったかな……。


第五回 11月19日
発展
写真を見ると、こだわってるものがあるようだから、それを発展させていくことを考えたほうがいいと思いますね。


第六回 11月26日
ためる
写真はこれでいいんじゃないかな。あとはためていくだけですよね。それが大変なんだけど。


第七回 12月3日
写真
なぜ写真なのか? って常に問われているわけですよ。だって絵画は写真が発明されてからずっと問われてきたわけだから。写真だけが、いい写真を撮っていればいいってわけにはいかないでしょう。


第八回 12月10日
スマホ
スマホでいいから撮るんですよ。ちゃんとしたカメラだと構えるじゃないですか。スマホで気になるものをさっと撮るんです。


第九回 12月17日
展示
二度目の展示は、早く決めてさっさとやってしまえばいいんですよ。一回の展示で終わっちゃう人がけっこういるんです。燃え尽きちゃうのと、二度目は必ず評価が下がるから怖いんでしょうね。「前のほうがよかった」「前のほうが荒々しかった」「今度は洗練されすぎだ」。必ずそう言われますから。


第十回 12月24日
写真
クリアな写真と曖昧な写真が両方あるのはいいですよ。写真は悪くないから、後はどう組み合わせるかですよね。

>>Back to REPORT

金村修の言葉 2018年3期

第一回 7月23日
撮り直し
何が写ってるかがわかる。ひっくり返すとわからないけど。わからないようにしたいんだったら撮り直しですよ。


第二回 7月30日
好き
写真そんなに好きじゃなくたっていいんじゃない? 案外写真が好きじゃないほうが出世するよ。写真が好きな人って写真の話しかできないから、世界に行くと弱いよね。


第三回 8月6日
展示前
展示の時は悩むのが当たり前でしょう。ギリギリまで考えるんですよ。


第四回 8月13日
世界
写真にすることで、この不安定な世界を自分の世界にするんですよ。


第五回 8月20日
距離
距離が不自由なほうがいいんじゃないかな。これなんかこれ以上引けないからいいんですよ。


第六回 8月27日
分断
普通は撮ったものと写真が一致するようにするじゃないですか。それが分断されているって言うのかな、そういう状態が面白いんですよ。


第七回 9月3日
縦位置
これ縦にするといいじゃない? 嘘はいけないか。でも一度縦にすると縦にしか見えなくなるけどね。


第八回 9月10日
友達
友達って足を引っ張る存在だから。90パーセント以上。


第九回 9月17日
2回目
いるんだよ2回目の個展でコケる奴って。1回目とぜんぜん違う写真を展示して失敗するんですよ。


第十回 10月1日
個展
展覧会をやるたびに、作者は「作らなきゃ」いけないから。展示が終わったら壊してまた作り直すんだけど。

>>Back to REPORT